帰化の申請~メリット・デメリットや基本的な条件、注意点、ポイントなどを解説~

帰化申請は、外国籍の方が日本国籍を取得するための手続きです。帰化には一定の条件があり、また手続きにも注意点があります。ここでは、帰化申請のメリット・デメリットや基本的な条件について簡単に解説するとともに、手続きの注意点やポイントについても紹介します。みなさまの帰化申請の参考になれば幸いです。

帰化申請とは?

帰化申請は、外国籍を有する方が日本国籍を取得するために必要な公的な手続きで、法務局に対して行います。帰化許可がおりると、申請者は以前の国籍を失い、日本国籍を取得することになります。

以降、日本国籍を有する者として生活することができ、外国人としての煩わしい在留ビザ更新などの手続きは必要ありません。今後も日本に居住するつもりがあるなら、帰化することにより、日本人としての恩恵を享受することができますので、ご検討いただくことをおすすめいたします。

帰化申請の国別許可者数

法務省民事局によって、過去の帰化許可者数の国籍別推移について報告されていますが、平成23年以降では年間平均約9,000人の帰化が許可されています。また、申請者のうち不許可者数が上昇傾向にあることが確認できます。

さらに、報告によれば申請者の原籍国のランキング上位を占めているのは韓国であり、中国、ブラジル、フィリピン、ベトナム、ペルーが続きます。このような結果は、社会の多様化や国際化が進む現代において、外国籍者との共生や人材の多様化が重要視される中、重要な指標となります。

令和2年

(2020年)

令和3年

(2021年)

令和4年

(2022年)

1 韓国・朝鮮 4,113 韓国・朝鮮 3,564 韓国・朝鮮 2,663
2 中国 2,881 中国 2,526 中国 2,262
3 ブラジル 409 ブラジル 444 ベトナム 360
4 ベトナム 301 ベトナム 269 ブラジル 340
5 フィリピン 301 フィリピン 237 フィリピン 217
6 ペルー 172 ペルー 175 ペルー 185
その他 902 その他 952 その他 1,032
総数 9,079 総数 8,167 総数 7,059

参考資料:法務局「帰化許可申請者数等の推移

帰化申請のメリット・デメリット

帰化申請を行うことには、多くのメリットが存在します。特に、社会保障面においては日本人と同じ権利を獲得することができます。具体的には、年金や保険、教育、福祉の分野において、日本人と同等の待遇を受けることができる点が挙げられます。また、日本の名前を持つことができるという点も、帰化の大きなメリットのひとつです。さらに、他国に行く際のビザの取得が簡略化され、外国人登録の手続きが不要となる点も、帰化申請を行う魅力的な理由となっています。

しかしながら、帰化にはデメリットも存在します。まず第1に、帰化するための条件が厳しいことが挙げられます。たとえば、十分な日本語能力が必要であり、長期間在留していることが求められます。また、帰化には多くの手続きが必要なことも考慮しなければならないでしょう。

帰化申請はメリット・デメリット両方がある問題です。メリットとデメリットを十分に比較して、自分自身や家族全体の将来を見据えて慎重に判断する必要があります。

帰化申請のメリット
●日本のパスポートを取得でき海外渡航の手続きが楽になる
●海外などで日本人と同様に日本政府の庇護が受けられる
●再入国許可なしで自由に出入国できる
●官公署などでの外国人特有の手続きが不要になる
●日本国籍になり日本の名前を持つことができる
●教育・保険・年金・福祉など社会保障を受けられる
●住宅ローンや事業資金などの借入がしやすくなる
●公務員になりやすい
●選挙権・被選挙権が発生する
帰化申請のデメリット
●帰化の要件などがあり手続きが難しい
●母国の国籍を失う
●母国へ帰る際にビザが必要になることがある
(日本のパスポートはビザなし渡航できる国が多く問題になるケースは少ない)
●母国の相続権がなくなることがある

帰化申請の基本的な審査基準とは?

帰化申請の基本的な要件は、下記の7点となります。

  1. 住所要件
  2. 能力要件
  3. 素行要件
  4. 生計要件
  5. 国籍要件
  6. 憲法遵守要件
  7. 日本語能力要件

参考資料:水戸地方法務局「帰化の要件について」より

1.住所要件

日本において帰化するためには、引き続き5年以上の居住が必要です。ただし、例外的な場合として、日本人の配偶者である場合など、必要な年数が緩和されます。また、留学ビザや就学ビザの在留資格の場合、5年以上の居住があっても帰化申請は認められません。この場合、留学ビザや就学ビザから就労ビザへ変更してから、3年以上経過する必要があります。

2.能力要件

年齢が20歳以上で、かつ本国の法律において成人年齢に到達していることが申請要件です。ただし、親と一緒に帰化を行う場合は未成年者でも申請が承認されます。

3.素行要件

素行が善良であることは必須条件です。その有無を判断するには、犯罪歴の有無や状況、納税状況、社会に与える影響などを総合的に考慮し、社会通念に沿って判断する必要があります。

4.生計要件

日本において日常生活を維持することができる、収入または資産が求められます。当該判断は、本人のみならず、同居する親族全体単位での評価が行われます。したがいまして、本人が収益を得られない場合であっても、配偶者または他の同居親族が持つ資産や技能を活用し、生計を維持できる場合には許可が可能です。

5.国籍要件

帰化によって本国の国籍を喪失することが必要です。本人の意思によって本国の国籍を喪失できない場合については、この要件を満たしていなくても帰化が許可される場合があります。

6.憲法遵守要件

日本国憲法を遵守し、社会の秩序を維持することは、帰化の要件となります。もし、暴力団やテロ組織に所属している場合、帰化申請は拒否されます。

7.日本語能力要件

日常生活において支障をきたさない程度の、日本語に関するコミュニケーションスキル(会話および読み書き)を備えていることが必要です。加えて、帰化手続においては、必要な書類や手続きに関する情報提供も、すべて日本語によって行われます。

帰化申請の注意点

帰化申請は、日本国籍を取得するための重要な手続きです。しかしながら、申請は必ずしも容易なものではありません。申請者は長期間に渡る審査に耐え、いくつもの条件を満たす必要があります。そのため、申請前に注意点を良く把握することが重要です。

帰化申請においては、法務局が申請者の出生国や国籍、過去の行動経歴、社会的信用などを詳細に調査します。審査は厳しく複雑で、多くの申請者が条件を満たせずに不許可とされます。一度却下された場合、再申請までに数年かかることもありますので、申請前には十分な準備が必要です。

帰化申請は容易な手続きではありませんが、注意点を理解して準備を十分に行えば、申請の成功率を高めることができます。また、行政書士など専門家の帰化サポートを受けることで、アドバイスを受けながらよりスムーズに申請を進めることができます。

在日韓国人など特別永住者の帰化申請のポイント

帰化する理由は個人によってさまざまですが、日本生まれの特別永住者であれば、帰化の要件に関してはさほど気にする必要はありません。なぜなら、日本で普通に生活を送っている方々の多くが、基本的に帰化条件を満たしているケースが大半だからです。

ただし特別永住者の場合でも、犯罪行為があった場合や、税金や年金が未納の場合、または交通違反がある場合は別です。特に、日常的に起こり得る交通違反には十分に注意が必要です。税金、保険年金、交通違反など犯罪歴、これらがポイントとなることが多いので、十分にご注意ください。

帰化の要件については問題がないことが多いですが、申請手続きについては、特別永住者であっても書類作成や必要書類の収集は簡単ではありません。こうした大変な手続きが必要となるため、行政書士などの専門家のアドバイスを受けることがおすすめです。特に申請書などの作成には時間がかかるため、早めに準備しておきましょう。

神戸市を中心に兵庫県・大阪府・京都府の帰化申請はおまかせください!

特別永住者である在日韓国人の方の帰化申請は、税金・保険年金などの滞納や交通違反を含む犯罪歴がなければ、要件などが緩和されており、許可は取得しやすくなっています。

しかし、特別永住者であっても帰化申請には、大量の必要書類や、複雑で手間のかかる手続きが必要です。また、帰化申請は不許可になると、再申請までに数年かかることも珍しくありません。

手続きをスムーズに行い一度で許可を取得するためには、帰化申請サポート專門の行政書士への相談をおすすめします。

外国人雇用や帰化專門の「畠田孝子行政書士事務所」では、神戸市を中心に兵庫県・大阪府・京都府などをフットワーク軽くサポートしております。ご質問や困りごとなどがあればお気軽にお問い合わせください。

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